【発達障害】ADHDのつらさを小さくするには――岡田尊司

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確かに、ミスなく計算をしたり、仕事をこなすことも重要だが本当に大きな失敗というのは、もっと上流で起きている。意思決定やプランニングの段階に問題があると、いくらその後の川下の部分でがんばって、課題をやり遂げたとしても、全部やり直さなければならないということも起きる。人生に甚大な損失をもたらすのは、じつはこの意思決定やプランニングの失敗なのだ。

『発達障害「グレーゾーン」その正しい理解と克服法』岡田尊司 SB新書

ここ数年、「発達障害グレーゾーン」という言葉をよく目にする。

発達障害というのは病院で診断を受ける病名だ。
グレーゾーンというのは、発達障害と診断を受けてはいなくとも、一定の発達障害特性を発揮し、人生に困難を抱えている人たちを指す概念として使われているようだ。

冒頭は、そんな発達障害グレーゾーンを解説した新書、岡田尊司の『発達障害「グレーゾーン」その正しい理解と克服法(以下、同書)』から引用した。

同書は、グレーゾーンをいくつかの特徴ごとにまとめ、解説と克服について解説したものとなっている。特徴については、以下のように8つの区分に整理されている。

  • 同じ行動を繰り返す人たち――こだわり症・執着症
  • 空気が読めない人たち――社会的コミュニケーション障害
  • イメージできない人たち――ASDタイプと文系脳タイプ
  • 共感するのが苦手な人たち――理系脳とSタイプ
  • ひといちばい過敏な人たち――HSPと不安型愛着スタイル
  • 生活が混乱しやすい人たち――ADHDと疑似ADHD
  • 動きがぎこちない人たち――発達性協調運動障害
  • 勉強が苦手な人たち――学習障害と境界知能

冒頭の引用は「生活が混乱しやすい人たち――ADHDと疑似ADHD」の章からだ。

ADHDが人生で大きなダメージを負うのは、意思決定の段階。
僕はADHDというと、不注意からくるミスがつらいイメージだったが、本当の問題はその前にあると指摘されている。

実際に行動を起こす前の段階で、つまりは意思決定やプランニングを上手に行えるかが、大きなダメージを回避するためには不可欠だ。

同書で提案されていた対策は、

・マインドフルネス
・プランニングの練習

だった。
どういうことか、もう少し詳しく紹介していく。

ADHDとは?

いまさらADHDの解説なんていらないかもしれないけれど、ざっくりいうと、

・注意が散漫でミスが多い。ひとつのことに集中できない。
・時間管理が苦手。締切を守れない
というような困りごとを抱えている人を指す。

この特性はひとえに、衝動性の強さからきている。

そうなると問題になってくるのが、人生の重要な局面であっても、深く考えることなく決めてしまうことだ。
例えば、進学、就職、結婚。

お金もかかるし、その後に大きな影響を与える場面だ。

そこに衝動性の強さがでてしまうと、人生に大きなマイナスの影響を与えることになりかねない。
それが冒頭の引用で指摘していた問題点だ。

ADHDというと、実際に手を動かしているときの、小さなミスにフォーカスがいきがちだ。
だが、それよりもっと前の工程に問題があると、岡田は指摘する。

すなわち意思決定とプランニングの段階だ。

意思決定の段階で衝動性を抑える=人生を崩壊に導くような失敗の予防

これは公式としてわかりやすいし、いい考えだと思う。

じゃあどうやったら衝動性を抑えて、マシな選択ができるの? 具体的になにをすればいいの? ということになる。 

岡田は、意思決定の場合は「マインドフルネス」、プランニングでは「小さな計画を立て、実行してみること」を改善策として提案している。

マインドフルネスで落ち着きを取り戻せ

マインドフルネスとは、瞑想を用いた方法で、リラックスした姿勢で目を閉じ、呼吸や体を感じながら、あるがままの自分を感じようとする。雑念が減り、集中力が高まる効果や、うつや不安が改善する効果もよく知られている。

『発達障害「グレーゾーン」その正しい理解と克服法』岡田尊司 SB新書

マインドフルネスとは、上記の引用のとおり、瞑想の一種だ。
同書では一回3分のマインドフルネスでも、効果があるとされている。

詳細なやり方については、専門的にたくさんの本がでているので、気になる方は探してみてもいいかもしれない。

さて、そんなマインドフルネスだが、情報の氾濫にさらされた僕たちの脳を、休めてくれるという効果もあるという。

僕たちは普段、とても処理できないほど、莫大な情報にさらされて生活をしている。

膨大な情報をさばきつつ、適切な判断をくだすことはとても難しい。
いつか疲れ果てて、横着したいい加減な決断をすることは目に見えている。

そうならないために、マインドフルネスを行うことで情報をシャットアウトするのは、いい方法だと思う。

情報は乗りこなせれば、いい結果につながる。
かっこいい情報サーファーを目指して、やっていきたい。

あとは、どこかで聞いたことがあるかもしれないが、欲しいものがあるときは、一週間待ってみるというやり方がある。

僕も実践しているけれど、余計なものを買うことがとても少なくなった。
(なくなったわけではない)

衝動的に買い物をしてしまう人は、意識的に時間をおいてみるのがいいだろう。
致命的な失敗を避けることができるかもしれない。

プランニングは実際にやってみるしかない

意思決定を上手にできるようになったら、次はいかにして実行するかだ。

プランニングについては、実際にやってみて、そこから学んでいくしかないらしい。

四次元ポケットはない。ひとつずつやっていこう。

個人的には、短い時間でできることからやってみるのがいいと思う。

例えば僕なら、本を読むことが好きだから、一週間のうちに2冊以上読めるように、日々の生活を設計してみるとかになるだろうか。

僕は社会人になってから一人暮らしをはじめたのだが、最初のころは時間のなさにびっくりした。

食事、洗い物、掃除、洗濯。

身の回りのことをやっているだけで、あっという間に時間が過ぎていく。
友人や家族と過ごす時間をいれると、それだけで休日は終わっている。
加えて、隙間時間もYouTubeやらAmazonプライムやら、油断すると無限に時間を溶かしてしまう。

本を読むことは好きだけど、主体的になる必要があるから、意外と体力が必要な娯楽だ。
仕事のあとなんかは、つい受動的に楽しめる動画系のサービスを見てしまったりする。

そういう状況で、本を読む時間をいかにして確保するか。

YouTuberなんかがやっているように、朝の時間を作るのもいいかもしれない。
それか仕事の後、すぐに帰宅せずにスタバによって飲み物を飲み切るまで読書の時間にしてみるのも、強制力があるだろう。

こんなふうにいろいろ考えてやってみることが必要らしい。

プランニングの経験が培われれば、その後の人生でなにかやりたいことができたときに、強い力になるだろう。
面倒かもしれないが、僕も挑戦してみることにする。

週2冊の読書、頑張ります。

生きづらさは仕方ない。なんとかやっていこう

最近、発達障害とかHSPとか本当によく見るようになった。

たぶん、いろいろなことが高度になりすぎて、ついていけない人が増えたのだと思う。
インターネットをはじめとするIT技術は、いよいよAIのところまでやってきた。

これから先、僕たちはもっと高度なことを求められるのか、あるいは、もういらないよといわれてしまうのか。
それは僕にはわからない。
けど、特別な才能はないという自覚があるから、僕にとってもこれから先の未来は明るいとはいえない。

とはいってもやっていくしかないので、本を読んだり映画見たり、文章を書いたりして、日々を過ごしていこうと思う。

そうやっているうちに、すべての労働をAIを搭載した人間そっくりのロボットが代替してくれる時代を待つのだ。
案外、この先に待っているのは、ユートピアかもしれない。

『発達障害「グレーゾーン」その正しい理解と克服法』は、紹介した以外にも多くの特性の解説、克服についての解説があった。

この記事の最初のほうで8つの特性を抜粋して載せているので、気になる人は実際に書籍を手に取って読んでみてほしい。

参考文献 『発達障害「グレーゾーン」その正しい理解と克服法』岡田尊司 SB新書2022年